ことを基準に判断せざるをえない状態になった。すなわち、法律の規定を守ることが公益にそぐわないか、あるいは法律の目的を達成できないことが分かっていても、法律に基づいて国民を規制しなければならなくなったのである。このために、法律の画一的な適用が必ずしも正義を実現するとは言えなくなったことに、オンブズマンが設けられた理由があると考えられる。例えば、具体的な例を申し上げると、デスオブコモンセンスという本が最近アメリカで出版されたのであるが、その中にこんな例がある。マザーテレサという慈善団体が、焼けたビルを改装して路上生活者を収容しようとしたのに対し、ニューヨークでは、この焼けたビルの使途に悩んでいたのでこれをマザーテレサに委ねた。ところが、建築基準法には、「改装ビルにはエレベーターを設置しなければならない」という規定があって、例外を認めるわけにはいかないと言われ、マザーテレサはこの計画を諦めた。あるいは、ある幼稚園では、子供の絵を壁にたくさん貼っていた。ところが、そこに消防署の長が来て、これは消防法に違反すると指摘し、子供の絵をすべて撤去させてしまった。あるいは又、ニューヨークにおいては、飲食店には衛生上「必ず皿洗い機を置かなければならない」という規定があった。そのために、それを置くスペースのない喫茶店では、コーヒーカップを紙コップに代えてしまった。